マニュアルAI活用:第1回 ドキュメントの比較を画像アプローチで

さまざまな角度からAI活用を検証したい

製造業のドキュメンテーション(使用説明書やサービスマニュアル、営業が作成する製品仕様書など、その他さまざまなドキュメント活動)をITで支援している弊社では、本格的にAIを道具として取り入れ、ドキュメンテーションのリードタイム短縮やコストダウン、品質の向上を図れないか検証を始めています。

ChatGPTで注目される、その一部の技術である文書の自動作成についても注目しています。

マニュアルの自動作成という夢のような世界を、実は手前のところまでは実現できるのではないかと考えています。説明書のベースを自動作成し、あとはリバイズしていくだけで完成するというものです。ChatGPTはAPIが公開されていますので、まずは調査をはじめたいと思います。

さて本題に入ります。研究調査としてマニュアル自動作成にトライしていきたいと思いますが、未来の話ではなくすぐ手が届く目の前の実用的なAIの活用ということで、新旧対照表の実現にAIの活用を試みていくことにします。

文章の新旧での差異を分かりやすく表現する「新旧対象表」とは

当社の製品WikiWorksには「新旧対照表」という機能があります。左が新版、右が旧版の文章です。青色が追加、赤色が削除を示しています。

WikiWorksの新旧対照表(青字:追加/赤字:削除)

これはドキュメントの旧版と新版でどこをどう更新したかが分かるもので、マニュアルの世界ではニーズの多い機能です。

現在は文字列の一致と不一致を見ながら差分を求めるシンプルなアルゴリズムで作成しています。

マニュアルでは図版も比較対象

WikiWorksは、製造業のお客様のマニュアル制作によく利用されています。

製造業のマニュアルでは、図版や画面も多用されます。これらの差分は、テキストの比較処理では拾うことができません。

ハッシュ値をとり、その値の違いで異っているか同一であるかを判断することはできますが、どこが差分となっているかを視覚的に明示することはできません。

新旧対照表を画像認識で作成するアプローチ

そこで我々が考えたのが、文章も画像も図版も表もすべて画像として扱い、画像の差分をとることで、新旧対照表を作成できるのではと仮説を立てました。現在、画像認識のためのAIライブラリはさまざまなものが公開されています。

このコラムでは、それらのAIライブラリの活用を試行しながら、新旧対象表が実現できるか否かのチャレンジの歩みを紹介していきたいと思います。

この記事の執筆者

プログラマーからメディア編集者に転身。現在はナレッジオンデマンド株式会社の代表取締役を務める。得意分野はIT技術に関するライティング。興味分野はブロックチェーンとAI。休日の趣味はピアノ。